最近、AGA治療薬としてユナイテッドクリニックが日本で最初に紹介したデュタステリド系製剤である【ザガーロ】が世間では話題になっていますが、フィナステリドも少しずつジェネリックが販売され始めています。
当院でも【フィナステリド「ファイザー」】をはじめ、2016年3月に登場した【フィナステリド「サワイ」】の取り扱いをしています。そして、更に【フィナステリド「クラシエ」】も2016年4月21日(木)にクラシエより販売予定です。(当院でも取り扱いを予定しています)。当院では【フィナステリド「クラシエ」】を東京最安価格・値段にてご提供いたします。
では、その【フィナステリド「クラシエ」】ですが、いったいどんなものなのでしょうか?
フィナステリド「クラシエ」とは?
【フィナステリド「クラシエ」】は、クラシエホールディングス株式会社(英:Kracie Holdings,Ltd.)のグループ会社である、クラシエ薬品株式会社からの販売予定の薬です。
1887年から設立されている歴史ある会社ですが、2007年にカネボウ・トリニティ・ホールディングスより社名変更され大きな話題となりました。
日用品、医薬品、漢方薬、食品等の幅広い事業を行う持ち株会社です。
「フリスク」や化粧品などの様々な商品を販売も販売しているので、クラシエという名前をご存知の方も多いのではないでしょうか?クラシエは漢方薬の大手でもあります。一般の方は化粧品メーカーのイメージがあると思いますが医療従事者では漢方と言うと「ツムラ」と「クラシエ」を思い浮かべる方が多いでしょう。
そのクラシエがプロペシアのジェネリック医薬品(後発品)として作ったのが【フィナステリド「クラシエ」】です。製剤としては、フィナステリド「クラシエ」の0.2mg錠と1mg錠がありますが、当院では1mgのみ取り扱う予定です。
下の画像が【フィナステリド「クラシエ」】の画像ですが、プロペシアと同様に14錠が1シートになっており、1箱に2シート、計28日分になっています。
※フィナステリド クラシエ1mgの画像は「漢・方・優・美」様より引用
フィナステリド「クラシエ」の効果
フィナステリド「クラシエ」はAGAの原因物質DHTの産生を抑制します。
AGAの原因物質として男性ホルモンのDHT(ジヒドロテストステロン)が挙げられますが、このDHTはテストロステロンと呼ばれる男性ホルモンに5a還元酵素が作用することでテストステロンがDHTに変換されます。【フィナステリド「クラシエ」】は5a還元酵素Ⅱ型を抑制し、テストステロンからジビドロテストステロンへの返還を阻害して、AGA(男性型脱毛)の進行遅延作用を示します。通常、男性におけるAGA(男性型脱毛症)の進行遅延つまり、現状維持に用いられる薬です。
フィナステリド「クラシエ」の効果は98%
国内で臨床試験を行った結果では、【フィナステリド「クラシエ」】1mgの1年間の投与により58%、2年間で68%、3年間で78%の改善効果が認められております。
また、【フィナステリド「クラシエ」】1mgの1年間投与により40%、2年間で31%、3年間で20%の現状維持効果が認められます。これらを合計すると【フィナステリド「クラシエ」】1mgは98%以上の方に効果があることがお分かりいただけると思います。
また5年間の服用でも90%の方に発毛効果があることが判明しており、長期投与でも多くの方AGA治療効果があることが分かります。
しかし同時に、髪の毛の増毛効果を実感した方は僅かで頭頂部での著明改善(髪の毛が増毛)は、6%、前頭部で2%程度に留まります。つまり、【フィナステリド「クラシエ」】は多くの方には現状維持~軽度改善の効果が期待される薬剤です。
フィナステリド「クラシエ」は日本皮膚科学会推奨度A
フィナステリドは、AGAの治療薬として、2015年5月現在、世界60ヶ国以上で承認されており、また日本皮膚科学会が提唱するAGA治療ガイドラインでも最高ランクA(積極的に行うことが進められる)に位置しています。2015年に発売されたザガーロも今後おそらくAランクになると思われますが、2016年4月現在、推奨度がAであるのはフィナステリドとミノキシジルだけです。
そのため、潜在的な治療ニーズが多いといわれるAGAの領域で、【フィナステリド錠1mg「クラシエ」】は、価格が安く、経済的な負担が少ないため治療の一歩を踏み出す新たな選択肢として期待されています。
フィナステリド「クラシエ」の服用法
フィナステリドとして通常1mgを1日1回服用します。
3ヶ月の連続投与により効果が発言する場合もありますが、効果が確認できるまで通常6ヶ月の連続投与が必要です。
また、効果を持続させるためには継続的に服用することが大事になってきますので、1日に飲む時間を決めておいて飲み忘れないようにしましょう。食事の有無に関わることはありませんので、飲み方の例としては昼食や夕食の後に飲むと決めておくのも良いかもしれません。
なお、1mg以上を服用しても効果の増強は、確認されていませんので1mgを限度にお飲みください。
6ヶ月以上投与してもAGA(男性型脱毛症)の進行遅延がみられない場合には医師に相談するようにしましょう。
フィナステリド「クラシエ」が効かない?
フィナステリド「クラシエ」をプロペシアにするとどうか?
【フィナスイテリド「クラシエ」】が効かない場合どうしたらよいか?では、メーカーを変えたら効果があるか?プロペシア、フィンペシアなどに切り替えても効果は変わりません。成分が同じであれば効果や副作用は同じです。フィナステリドは約98%の方に効果が期待できますが、残りの2%の方には効果が得られないことが分かっています。
フィナステリド「クラシエ」を増量するとどうなる?
実は【フィナステリド「クラシエ」】は1mg以上に増量してもあまり効果が変わらないことが知られています。これは元々フィナステリドは前立腺肥大の薬剤として開発されています(日本では未承認)が、前立腺肥大症としてのフィナステリドは通常5mgを服用します。フィナステリドが前立腺肥大症薬として承認後フィナステリドがAGA治療効果があるとわかり、研究の後MSD社からプロペシアとして発売されました。
そのためプロペシアの承認時臨床試験においてフィナステリド5mg、1mg、0.2mgの3用量で試験が行われています。その時の結果、5mgと1mgの効果があまり変わらないことが判明したため5mgは承認されず、フィナステリド1mg、0.2mgが承認されました。
ちなみにフィナステリド1mgと0.2mgでは1mgがより発毛効果が高いことが分かっており、また副作用の頻度がフィナステリド1mgと0.2mgで有意差がありませんでした。つまり1mgがよりAGA治療効果が高く、副作用の頻度は1mgと0.2mgで変わりません。添付文書上では通常0.2mgとなっていますが、多くのクリニックが最初から1mg錠での治療を行っているのはそのためです。
フィナステリド「クラシエ」とミノキシジル
【フィナステリド「クラシエ」】が効かない時どうすればいいのかというと、比較して作用機序の違うミノキシジルの併用が一つの手段でしょう。ミノキシジルは血流改善作用を有しており、頭皮の血流を改善させることで発毛・育毛を促します。ミノキシジルは服用した方が効果が高いと言われていますので、ご自身の状態合わせて2.5mg錠、5mg錠、10mg錠のミノキシジルタブレット(ミノタブ)の服用をするのがいいでしょう。但しミノキシジルは耐性の有無がはっきりしていない薬剤です。効果を期待するあまり増量すると期待されるAGA治療効果が得られなくなる可能性がありますのでミノキシジルタブレットの治療に関しては医師と相談しながら用量調節を行うことをお勧めします。生え際のAGAに関してはフィナステリド「クラシエ」など5α還元酵素阻害薬が効果を発揮しますが、頭頂部・前頭部などの薄毛にはミノキシジルがより高い効果を発揮します。
また5%ミノキシジルの外用剤(ロゲイン、リアップ、ミノキシジルローションなど)の併用も有用です。日本皮膚科学会は「5%ミノキシジルAnd/Orフィナステリド」での治療を標準療法として推奨しています。
フィナステリド「クラシエ」とザガーロ
もう一つはフィナステリドと同じ作用機序のデュタステリド(ザガーロ・アボルブ)に切り替えを検討しましょう。ザガーロ0.5mgは国内の臨床試験フィナステリド1mgよりも1.6倍高いAGA治療効果を有します。また海外臨床試験データではフィナステリドからザガーロへの切り替えで約78%の方に発毛効果がみられたと報告されています。
ザガーロにフィナステリドを併用することは効果があまり期待できないことが予想されます。これはザガーロがAGAの原因物質である男性ホルモンジヒドロテステステロン(DHT)の産生抑制率が90%と高く、DHTの影響をほぼ完全に除外することができるためです。そのためユナイテッドクリニックではザガーロとフィナステリド「クラシエ」等フィナステリド製剤の併用は推奨していません。
フィナステリド「クラシエ」の耐性
巷では、プロペシア、フィンペシア、フィナステリドを服用しつつけると耐性が着き効果がなくなる等と言われている場合もありますが、耐性について報告されているものはございませんので、毎日きちんと飲み続ける事が大事になってきます。ミノキシジルの耐性については上述の通りはっきりしませんので医師と相談のうえ用量調節することをお勧めします。
フィナステリド「クラシエ」の注意事項
効能効果に関する使用上の注意としては、
- AGA(男性型脱毛症)のみの適応であり、他の脱毛症に対する適応がありません。
- 20歳未満での使用は安全性及び有効性は確立されていません。
- 女性に対する適応はありません(海外のフィナステリド製剤で実施した閉経後女性のAGAを対象とした12ヶ月間のプラセボ対照二重盲検比較試験(n=137)において、フィナステリドの有効性は認められませんでした。
- 妊娠中の女性がフィナステリドの触れると胎内の男児の外性器の発達に影響を及ぼす可能性が否定できませんので、服用しないようにしてください。また経皮吸収の程度が明らかになっておりませんので、妊娠中の女性はフィナステリドに触れないようにしてください。コーティングされていますので、割れたり砕けたりしない限り、通常の取り扱いにおいて有効成分に接触することはありません。
- フィナステリドを服用中は前立腺がんの腫瘍マーカーであるPSAが1/2に低下します。PSA検査を行うときはフィナステリドを服用中の旨、担当医師に告げてください。PSAは2倍すると正常な値になります。
- フィナステリド、デュタステリドを服用中の方は献血することができません。1ヶ月の休薬の後、献血することが可能です。
男性ホルモンDHTの産生を抑制する作用機序のためDHTが原因である薄毛(AGA)には効果が期待できますが、血行不良が影響するびまん性脱毛やストレスや免疫が影響する円形脱毛症、真菌によるひこう性脱毛などには効果が期待できません。
フィナステリドの臨床試験は24~50歳の男性を対象にしており、未成年での効果や副作用は不明です。また第二次性徴などに男性ホルモンが作用しますが影響を受ける恐れがあるため決して未成年者は服用しないようにしましょう。
女性はフィナステリドを服用しても効果がないことと、妊娠中の女性がフィナステリドに触れると男性男児の外性器に影響を及ぼす恐れがあるので触れないでください。但し実際に男性男児への外性器異常の報告はありませんので過度な心配は不要です。
フィナステリドやデュタステリドが完全に体外に出るまで時間がかかります。女性はフィナステリドやデュタステリドに触れてはいけません。女性に輸血する可能性があるため、休薬の後献血を行うようにしてください。
フィナステリド「クラシエ」の副作用
フィナステリドは48週間の二重盲検比較試験において、安全性の評価対象276例中11例(4.0%)に14件の副作用(臨床検査値異常変動を含む)が認められています。
主な症状はリビドー(性欲)減退3例(1.1%)、勃起機能不全2例(0.7%)等でした。
副作用は全体でわずか4%と安全性の高い薬剤と言えるでしょう。またリピドー減退やEDの副作用に関してもフィナステリドを服用した群とプラセボ(偽薬)を服用した群とで比較したときに差がありませんでした。そのため副作用に関しては過剰に心配しなくても大丈夫です。
また、飲み始めてから約1~2ヶ月の期間、初期脱毛と見られる脱毛(抜け毛)が増えますが、初期脱毛で抜け落ちていく髪の毛はヘアサイクルの乱れによって生まれたものなので、丈夫で健康な髪の毛へ生え変わる為の準備期間のため起こるものです。一般的にはフィナステリド「クラシエ」などフィナステリド製剤では初期脱毛は起こらないとされています。