今回は「ザガーロとミノキシジル」についてです。添付文書やインタビューフォームによると2015年9月28日に正式承認されたばかりの新しい薄毛・AGA治療薬です。商品名は「ザガーロカプセル」、0.1㎎と0.5㎎の2種類があり、主成分は「デュタステリド」です。グラクソ・スミスクライン社の事情により発売が延期されていましたが、2016年5月26日にグラクソ・スミスクライン社よりザガーロが2016年6月13日販売開始の発表がされました。薬価(価格)は自由診療になりますが、都内最安値で処方できるように努力しております。
効果(生え際・前頭部・頭頂部)は同じ「5α還元酵素阻害薬」のプロペシア(フィナステリド)と比較し、強力でプロペシアからザガーロの切り替えでより発毛が期待できます。服用方法は1日1回で食事の影響はありません。
ザガーロとは
*ザガーロの画像
商品名)ザガーロカプセル0.1㎎・同0.5㎎
一般名)デュタステリド(デュタステライド)
分類)Ⅰ型、Ⅱ型5α還元酵素阻害薬
販売会社)グラクソ・スイスクライン社(GSK)
承認取得日)2015年9月28日
効能・効果)男性の男性型脱毛症
用法・用量)男性成人には通常デュタステリドとして通常0.1㎎を1日1回経口投与する。なお必要に応じて0.5㎎を1日1回経口投与する。
「ザガーロ」は主成分にデュタステリドを含むAGA(男性型脱毛症)治療薬で、2015年の9月28日に厚生労働省で承認された新しい薄毛・AGA治療薬です。
日本で「デュタステリド」といえば、そう前立腺肥大症薬「アボルブ」にも含まれる成分ですね。
「アボルブ」は、日本では前立腺肥大治療薬として認可されておりAGA治療薬としての認可は受けておりませんでした。しかしAGA治療に絶大的な効果があることは知られており、海外ではAGA治療薬として認可されている国もありました。
そのため、日本でもAGA治療を勉強している方はご存知でAGA治療に「アボルブ」を服用する方は多く、当院でも多くの方がアボルブ0.5㎎を服用されてきました。
しかし、元々は前立腺肥大用の薬という事で、二の足を踏む方も多く、その恩恵を受ける方が少なかった薬でもあります。(いままでは適応外使用でした。)
そのため、今回の「ザガーロ」がAGA治療薬として承認された事は、多くの方のAGA治療に新たな選択肢が増えたことを意味しますね。
さて、気になるその「ザガーロ」の効果ですが、主成分が「アボルブ」と同じデュタステリドで用量も同じなので、「アボルブ」と同じ効果が期待できます。
AGAの原因
「ザガーロ」の効果をお話しする前に、AGAがなぜ起きるのか簡単にお話ししておきましょう。(知っている方も多いと思いますが、おさらいと思って読んでみてください)
まず、AGAの原因は「ジヒドロテストステロン」、DHTと呼ばれる男性ホルモンによって生じると言われていますが、このDHTの産生を抑制することによって頭髪の脱毛を防ぐことが知られています。ではこのDHTはどうやって産生されるのでしょうか?
頭皮には5α還元酵素(5αリダクターゼ)と呼ばれる酵素が存在しています。
これ自体は特に害のないものなのですが、これがテストステロンと呼ばれる男性ホルモンと結びつくとDHTを産生します。
DHTは本来6年程度ある髪の毛の抜けては生え変わる周期(ヘアサイクル)を1年未満に短縮してしまいます。
そのため、髪の毛がしっかり成長せず、短く、細く、薄い毛となり、薄毛・AGAが進行するのです。
ザガーロの効果
ザガーロは5α還元酵素阻害剤とも呼ばれ、テストステロンと5α還元酵素が結び付くのを抑えてくれる薬です。
さらに5α還元酵素にはⅠ型とⅡ型がありますが、フィナステリド系製剤はⅡ型のみを防ぐのに対して、「ザガーロ」はⅠ型・Ⅱ型ともに阻害してくれます。
そのため、髪の毛のヘアサイクルを整えるだけではなく、より高い発毛効果も期待できます。
ザガーロ0.5mg・0.1mgとフィナステリド1mg、プラセボを比較した臨床試験で服用24週間で500円玉大(直径25.4cm)の頭皮からフィナステリド1mgは56.5本、ザガーロ0.1mgは+63.0本ザガーロ0.5mgは+89.6本の発毛が認められています。プラセボは-4.9本でした。
毛髪数のベースラインからの変化量(24週時)
また、海外の臨床試験でも「ザガーロ0.5mg」と「フィナステリド5mg(プロペシア1mgの5倍量)」を半年間服用した場合、「ザガーロ」を服用したグループの方が約30%も発毛量が高かったことが知られています。
ザガーロは男性ホルモンDHTの産生を抑えることでヘアサイクルを整え脱毛を抑え、産毛を多く生やしてくれる薬剤です。そのため、作用機序の全く異なるミノキシジルと併用することで、かなりの発毛・育毛効果が期待できますね。
ミノキシジルの効果
さて、「ミノキシジル」についてご存知ない方もいらっしゃると思いますので、こちらも簡単に説明させていただきます。
「ミノキシジル」は元々、血管拡張剤として開発された薬でしたが、発毛効果があると分かり、発毛剤に転用され、日本以外では「ロゲイン」とされ販売されました。
「ロゲイン」はあの「リアップ」の元となった薬です。「リアップ」は日本での権利を大正製薬が買い取り販売している物でいわゆる「ロゲインのジェネリック医薬品・OTC医薬品」です。
「ミノキシジル」にはローションタイプのものと、タブレットタイプのものがあり、一般的にタブレットタイプの方が発毛効果が高いです。タブレットと外用剤の併用も出来ます。
ミノキシジルは頭皮の血管を拡張させ、たくさんの栄養を毛髪に運ぶとともに毛乳頭、毛母細胞を活性化させるため毛髪の発育を強く促します。毛乳頭、毛母細胞は髪の毛を生やしたり、しっかりと成長させてくれる細胞です。この細胞が死滅してしまうとその部位からは発毛することはありません。毛乳頭・毛母細胞は発毛の命ともいえる細胞なのです。
「ザガーロ」と「ミノキシジル」の併用がお勧め
「ザガーロ」にも発毛効果があるのに、なぜ「ミノキシジル」と併用する必要があるのか?という疑問の声が出てきそうですね。
これはザガーロとミノキシジルは作用機序が違うこと、またAGAに対して得意分野が違うためです。
と言いますのも、「ザガーロ」はヘアサイクルを正常に戻し脱毛を抑え、産毛を生やし髪の毛が生えやすい状態にしてくれます。
ザガーロ単剤でも十分な効果を認める方も多くいると思いますが、AGAの方の大半は、髪に栄養を与える為の血管が細くなっているため、十分な栄養が行き渡っていないことが多いのです。そのような方の場合、ザガーロ服用による効果で生えた産ぶ毛がしっかりとした髪の毛に育ってこない場合があります。その為「ザガーロ」の効果で発毛しても、十分に元気な髪の毛が生えたとは一概には言えないのです。
その場合ミノキシジルで頭皮の血管を拡張させ、毛乳頭、毛母細胞を活性化させ毛髪の発育を促し、産毛にしっかりと栄養をとらせるとしっかりとした発毛効果が得られるようになります。
また部位で薄毛・AGAの原因が異なることが知られております。一般的に生え際・前頭部には男性ホルモンDHTの影響が色濃く出ることと、前頭部・頭頂部には血行不良が大きな原因となることが知られています。そのため生え際、前頭部の薄毛にはザガーロが効果的ですし、頭頂部にはミノキシジルが効果的です。(もちろんこれは生え際にはミノキシジルが効かない、頭頂部にはザガーロが効かないわけではありません、ザガーロの頭頂部の効果は臨床試験でも示されています。)
2015年5月現在、ザガーロとミノキシジルを併用投与した文献報告はありませんが、日本皮膚科学会は2010年に診療ガイドラインを作成し「フィナステリド1㎎and/or5%ミノキシジル」を推奨しています。フィナステリドとザガーロは同じ5α-還元酵素阻害薬に分類され作用機序が似ており、またザガーロがより発毛本数を増やすため今後「ザガーロ0.5㎎and/or5%ミノキシジル」が標準治療となることが想定されてます。
ザガーロでヘアサイクルを整え、脱毛を抑え、多くの産毛を生やし、ミノキシジルでその産毛を立派な毛髪にしましょう!
ユナイテッドクリニックの豊富なザガーロ治療実績
ユナイテッドクリニックでは開院時より「ザガーロ」によるAGA治療を行っており、日本でも有数のザガーロ治療実績を誇っています。ザガーロで全く初めて治療する医師・クリニックよりも適切で的確な治療のアドバイスを行うことが出来ます。ご興味のある方がぜひ御相談下さい。