一部の漢方薬にはED(勃起不全)症状を改善させる効果があります。EDを治す・治したいと希望しても狭心症など心臓病の治療中でED治療薬が服用できない方、ED治療薬は効果があるが、頭痛やほてりなどED治療薬の副作用が気になってなるべく服用したくない方、ED症状を予防したい方、ED治療薬以外の方法でED・インポテンツを克服したい方に効果的です。一部の漢方薬は保険適応がありますので、病院・クリニックで健康保険を使った処方が可能です。最近ED治療薬で勃起しないとお感じの方は漢方薬を試してみる価値があります。
漢方薬におけるED・インポテンツ
漢方薬におけるED・インポテンツは「陰萎」と呼ばれます。
「陰萎」は以下の4つに分類されます。
- 心身症状型…いわゆる心因性ED
- 気血痰於型…いわゆる器質性ED
- 脾胃湿熱型…胃腸障害を併発しているED・男性機能障害
- 陽虚型…四肢冷感や活動低下を伴うED・男性機能障害
漢方薬の治療概念は疾患ではなく、症状に対して処方を行います。EDに対しても西洋医学では器質性ED・心因性ED・混合型EDと分類しますが、漢方医学では症状の組み合わせで処方薬を決めていきます。
ED症状に効果のある漢方薬その1.
1. 牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)
加齢による性機能低下は「腎虚」の影響だと言われています。漢方医学では腎臓は人間の生殖能力に関するものを貯蔵する場所と考えられているため、腎臓の機能不全、つまり「腎虚」になると性機能が低下します。(ただし漢方医学での腎機能不全は、西洋医学で言うところの腎機能不全とは異なります)
牛車腎気丸には地黄、桂皮、山薬、牛膝などの生薬が配合されています。ED症状に効果的で、男性機能障害が改善すると同時に慢性疲労や肩こり・腰のだるさ・冷えにも有効です。
臨床研究においても、性機能低下でED外来を受診した55歳以上の男性17人に3ヶ月間、毎食後に牛車腎気丸を服用してもらったところ、性生活の満足度の改善やED・早漏症状(そうろう・PE)の改善を認めた、という報告もございます。男性更年期障害(LOH症候群)、加齢に伴うED症状に効果的です。
ED症状に効果のある漢方薬その2.
2. 柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
漢方医学では体は健康体であっても、ストレスや精神疲労、うつ症状がある男性は男性不妊やインポテンツ・EDを起こしやすいと考えられています。このような状態を「気滞」と呼びます。
柴胡加竜骨牡蠣湯に含まれる柴胡、桂皮、竜骨、牡蠣が不眠や不安、ストレスや精神疲労を軽減させ、男性機能改善をもたらします。ED症状改善効果や早漏症(PE)改善効果があると言われています。イライラしやすい心因性EDの方に効果的です。
ED症状に効果のある漢方薬その3.
3. 桂皮加竜骨牡蠣湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)
もともと虚弱体質・神経質で、更にストレスや精神疲労、うつ症状などがあり、些細なことで興奮しやすい男性は柴胡加竜骨牡蠣湯よりも桂皮加竜骨牡蠣湯が有効です。
桂皮加竜骨牡蠣湯には神経の興奮を抑える作用があります。また桂皮には発汗作用があるため、緊張が強く手や脇の下に汗をかきやすい人に適しています。不安の強い心因性EDの方に効果的です。
ED症状に効果のある漢方薬その4.
4. 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
倦怠感や疲労感が強く、虚弱体質な方には補中益気湯が有効です。補中益気湯には精子の数を増やしたり、運動能を高めたりする作用もありますので、EDや男性更年期障害(LOH症候群)の方のみならず、男性不妊の方にも効果があります。
ED治療薬と漢方薬の併用
漢方薬は器質性EDよりも心因性EDに対して効果的です。またED治療薬であるバイアグラ、レビトラ、シアリスと併用することで相乗効果も期待できます。ただし漢方薬は体質改善が主な作用ですので、ED治療薬のような即効性はありません。効果が認められるまでに時間を要しますので、その点は注意が必要です。現在、漢方薬は処方しておりませんが、皆様のご要望が強い場合は今後導入を検討させて頂きます。