プリリジー（ダポキセチン）の効果と副作用の少なさは非常に優れています。プリリジーと研究段階の2剤を比較しました。ユナイテッドクリニックではプリリジーを低価格で処方しています。
現在、世界で唯一認可されている早漏症（PE）治療薬はプリリジー（ダポキセチン）のみですがプリリジー以外にもPEに対して様々な薬剤が使用されています。本コラムでも以前パキシルがPE治療薬として使用されていることをご紹介しましたが今回はPE治療薬として一部の医療機関で取り扱われているユリーフ、トラマールについて文献の検索結果を交えながらご紹介したいと思います。
ユリーフ（シロドシン）の逆行性射精
ユリーフはシロドシンを成分とするα遮断薬で尿路平滑筋を弛緩させることで前立腺肥大症に伴う排尿困難を改善させる治療薬です。ユリーフの副作用として精管や精嚢の収縮を障害することで射精障害(無射精症など)をきたす場合があることが知られておりこの副作用を利用して早漏症治療薬として研究されていますが、現在世界中どの国でもPEに対しては適応がありません。
PEに対して効果があったという報告もありますが、あくまで研究段階のレベルで論文数も少なく確実な効果が見込めるものではありません。
ユリーフは副作用の発現率が高く前述した射精障害は5人に1人の割合と高頻度に認められるほか、特徴的な副作用として約20%に膀胱内に射精してしまう逆行性射精が知られており射精する精液量が減少してしまう可能性があります。射精時の快楽度は射精する精液の量に比例することがわかっていますので、逆行性射精が起きた場合はいわゆる空打ち状態となり快楽度の低下が見込まれます。
またこの副作用は20～40歳台の方が服用すると100%見られており発売元の第一三共も注意を促しています。
射精障害及び逆行性射精いずれも基本的には可逆性で約80%の方は服用中止で4週間以内に症状が回復しますが、逆に言うと20%は不可逆性ですのでPE治療目的での安易な使用は控えるべきと考えます。
特に挙児希望の方にユリーフ服用による不可逆性の射精障害や逆行性射精が起こった場合は男性不妊の原因となる可能性があります。ED薬との併用は両剤とも血管拡張作用による降圧効果があり併用禁忌ではありませんが、併用注意薬となりますのでED合併のPEの方には不向きと言えます。
トラマール（トラマドール塩酸塩）
トラマールは非オピオイド鎮痛剤で疼痛を伴う各種癌、慢性疼痛など治療困難な疾患に対する鎮痛剤として使用されています。現在世界中のどの国でもPE治療薬としての適応はありません。
2012年に中国のTao Wu氏らがパキシルとトラマールの早漏延長効果について比較した文献があり、それによるとトラマールはパキシルと同程度に早漏延長効果を認めたと記してあります。ただしこの研究の基準を満たした者は7人のみです。また、早漏延長効果はパキシルと同程度にも関わらずトラマールの副作用が多く、トラブルが多かったとのことです。あまりにも症例数が少なくなんとも言えない文献ですがトラマールとパキシルのどちらかを選べと言われればパキシルを選択したほうが無難だな、と思わせる結果です。
そもそもトラマールは薬剤の性質上、依存性がありますので服用には注意が必要です。モルヒネほどの副作用はありませんが、便秘や吐き気、嘔吐、眠気などが出やすいです。眠気は続けているうちに慣れて軽くなりますが、吐き気は少し長引きます。また発現頻度は極めて低いものの、けいれんや意識消失、呼吸抑制などの重篤な副作用を起こす可能性があります。
プリリジーVSユリーフ、トラマール
以上、プリリジーと比べるとユリーフ、トラマールともに効果が弱く不確実なわりに副作用が強く、プリリジーにとって代わる薬剤ではありません。プリリジーにも頭痛、嘔気、めまい、下痢等の副作用は知られていますが1～10%未満と決して頻度が高いものではなく、挿入から射精までの時間が有意差をもって3～4倍に延長させる効果があることが大規模臨床試験の結果からわかっていますのでPE治療をお考えの方にはプリリジーを第一選択とするべきでしょう。
